こんにちは、リビングボイスの芭蕉です。
日本各地には国防のための基地が点在しており、基地によっては滑走路が設置され、アメリカ軍や防衛省に所属する航空機が当たり前のように着陸・離陸しています。
この航空機の騒音はかなり大きく、室内での会話が聞き取れなくなるほど騒がしくなることも。
航空機の離発着音に関しては、岩国や横田、空自小松基地、嘉手納基地などで騒音訴訟がおこされており、地元の方々にとって基地の騒音は大きな問題です。
そこで「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」が国により制定され、地元住民の生活を守るべく、防音対策のための助成金制度を設置しています。
今回は、防衛省による防音措置の補助制度についてご紹介いたします。
<この法律ができた理由と目的>
前述したように、戦闘機の離発着音は室内にいても日常会話が聞き取れなくなるほどの騒音を発することから、住民が「睡眠障害・難聴」などの健康被害を訴えることも少なくありません。
国防のためとはいえ、基地の周辺住民に健康被害や心理的ストレスを与えることはできるだけ避けなければなりませんし、住民の反発が強くなると基地そのものの存続も危ぶまれます。
そのため、昭和49年に基地周辺住民の生活環境を整備するための法律「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」が施行、法律の最新更新日は平成26年6月13日となっており、最新の事情に合わせて改正されている状況です。
この法律の内容をチェックし、周辺住民に対してどのような施策をおこなえるのかさらに深堀りしてみましょう。
<障害防止工事や住宅の防音工事の助成>
この法律で大切なことは、基地周辺住民に対して少しでも騒音被害を減らすことです。
そのため障害防止工事や防音工事に対し、国が助成金を補助することで、騒音被害を軽減させる措置を講じることが定められています。
たとえば「障害防止工事の助成」第3条には「農業用施設、林業用施設又は漁業用施設・道路、河川又は海岸・防風施設、防砂施設その他の防災施設・水道又は下水道」など住民が生活していくうえで重要な設備を守ることが明記されています。
自衛隊等がこれらエリアで頻繁に装甲車を走行させる、射撃・爆撃訓練等をおこなうことで生じる被害を防止するため、工事費の一部や全部を国庫から補助すると法律で約束されているのです。
また自衛隊等の航空機が頻繁に離発着する基地周辺住民に対しては「その障害を防止するための措置にかかる費用を助成する」とも明示されており、航空機離発着時の騒音軽減のための対策に国が補助金を出すことにより、地元住民を金銭的に救済することが保証されています。
また基地の騒音があまりに激しく、やむなく引っ越しを行う住民に対しても損害賠償を実施することも明記されており、この法律により基地周辺住民の生活環境を守ることが保証されています。
<住宅防音工事の助成>
自衛隊や在日米軍の飛行場周辺の航空機騒音により、日常生活に支障をきたしている方に対して、住宅防音工事の助成金制度をもうけています。
工事内容は「換気扇、冷暖房機、防音天井・壁及び防音サッシの設置等」で、室内においての騒音を低減する措置がメインになり、費用は100%助成されるのが特徴です。
どのような防音工事をおこなうかは、すでに国が「住宅防音工事標準仕方書」を作成し、必要な工事を指定しています。
住民が勝手にいろいろな工事を追加しても、決められた仕様の防音工事以外の部分には助成金はおりませんので注意が必要です。
<防音工事申請方法とは?>
基本的には、国が基地周辺住民に対して積極的に「防音工事をおこなってください」と呼び掛けることはありません。
住民の自発的な申請作業が必要で、希望者から国に希望届を提出するのが最初の一歩です。
もし対象外の住民であると判明した場合は、防音工事をしても国からの助成金は振り込まれません。
対象となる住民の場合、国から希望者へ交付申込書の配布、交付申込書の提出と書類段階での審査があります。
助成可能と判断された場合、国が専門の担当者を派遣し「現地調査 (居住状況等の確認)」をおこない、そのうえで補助金の内定通知を発行。
住民が「補助金交付申請書」を提出すると国から「補助金の交付決定通知」が送付され、ここで初めて防音工事が国の100%助成で開始できることになります。
<防音工事施工業者は住民が選定する>
許可がおりたら、住民側が防音工事施工業者を自ら選定し、工事契約、さらに工事とすすみ、工事完了検査、住民による実績報告書の提出、そして国による完了確認、補助金の確定がおこなわれます。
工事の内容がきちんと仕様書にのっとったものかどうか管理するために、施工業者とともに、別に設計事務所とも契約しなければならないのが大変ですが、工事が仕様書通りにおこなわれたかどうかを確認するため重要です。
補助金の確定通知が手元に届いたらあとは住民が請求書を郵送し、指定された口座に補助金が振り込まれ、一連の流れは終了します。
<基地の騒音で眠れなくなる>
アメリカ空軍嘉手納基地周辺に住む住民は、航空機の離発着にともなう騒音により睡眠障害や頭痛、難聴などの健康被害に遭っています。
ところがこの騒音が原因で心筋梗塞(心疾患)を起こし、毎年10人前後の方が亡くなっているという衝撃の報告が、北海道大学工学研究院の教授によって発表されました。
この嘉手納基地は夜間早朝いつでも航空機が離発着しており、深夜、熟睡が必要な時間帯に耳をつんざくような航空機の音でびっくりして目が覚めるケースも多数。
「いつ航空機の爆音が聞こえてくるのか?」と思うと夜もぐっすり眠れなくなりますね。
そのため基地周辺では、睡眠障害に陥っている方が推計約1万7,454人いるとも発表されました。
睡眠障害と聞いても「たいしたことなさそう」に思えますが、人間にとって眠りは重要な役割を果たし、たとえ軽度の睡眠障害であっても病気として治療の対象になっています。
<睡眠障害でさまざまな病気リスクがアップ>
睡眠障害にり患すると、そこからうつ病や肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常など心身の健康を害する可能性があることが判明しています。
睡眠不足からイライラが増し日常生活に支障がでやすくなりますし、睡眠不足は食欲を促進させて肥満や糖尿病、脂質異常、高血圧リスクをアップさせます。
放置し続けるとやがて心臓病や脳卒中といった、命に関わる大病へと発展することも。
そのため住宅の適切な防音工事が不可欠なのです。
<心筋梗塞リスクは夜間騒音で高まる>
Lnight(エルナイト)と呼ばれる夜間の平均騒音レベルを示した数値があり、この数値が大きくなればなるほど夜間騒音が激しいエリアと推測されます。
Lnightが40デシベル以上になると、そうではないエリアと比較して心筋梗塞になるリスクが0.5~24%も上昇するというデータもあり、夜間騒音が健康に深刻な影響をもたらす可能性が高いことが示されています。
睡眠は人間にとって健康を維持する大事な要素。
基地から離発着する航空機の騒音問題を解決するためにも、住宅に適切な防音工事をほどこすのはもちろん、航空機の夜間飛行制限など地域住民がより暮らしやすくなるための措置も必要です。
今回は、防衛省による防音措置の補助制度についてまとめました。
基地に所属する航空機はマッハの速度を出すために、通常の旅客飛行機よりよりパワフルで高機能なエンジンを搭載しています。
アメリカに配備されている最新鋭機では120デシベルという信じられない騒音を発生させるというデータもあり、アメリカでも騒音が大きな問題に。
日本では、国の100%助成による住宅の防音対策がおこなわれています。
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